月経前症候群(PMS) / 月経前不快気分障害(PMDD)とは

月経が始まる前の時期、多くの女性が心身のバランスに変化を感じることがあります。
たとえば、気分が沈んだり、イライラしやすくなったり、漠然とした不安を覚えたりするほか、頭痛や体のむくみといった身体的な不調が現れることも少なくありません。
こうした症状が月経の開始とともに軽減される場合、それは「月経前症候群(PMS)」の可能性が考えられます。
中には、このPMSの症状が特に強く出るケースもあり、そのような場合は「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断されることもあります。
実際、女性の約7~8割が月経前に何らかのPMSやPMDDの症状を経験しているという調査結果もあり、非常に多くの方に共通する課題となっています。
これらの症状は、日々の生活にも影響を及ぼすことがあります。仕事や勉強の集中力が低下したり、家庭内のコミュニケーションがうまくいかなくなったりと、普段の生活リズムに支障をきたすこともあるのです。
放置すると、心身ともに負担が増し、ストレスの引き金になることもあるため注意が必要です。
もし、こうした月経前の症状に悩まされている場合は、一人で抱え込まず、当院に相談することをおすすめします。
当院では、経験豊富な医療スタッフが、一人ひとりの症状に合わせたケアやアドバイスを行っております。安心して生活を送るために、まずはお気軽にご相談ください。
月経前症候群(PMS) / 月経前不快気分障害(PMDD)の症状
月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)には、主に身体に現れる症状と心の状態に関する症状の2つのタイプがあります。
それぞれの特徴を以下にまとめました。
身体的な症状の例
- 胸の張りや痛み
- お腹が張るような違和感(腹部膨満感)
- ニキビや肌荒れの悪化
- めまいや立ちくらみ
- 皮膚のかゆみや炎症、ヘルペスの悪化など皮膚トラブルの悪化
- 関節や筋肉の痛み
- 体重の増加
- 手足のむくみ
心理的・感情面での症状
- 憂うつな気分になる
- 些細なことで怒りが爆発する
- イライラしやすくなる
- 突然泣き出してしまう
- 妄想的な思考にとらわれる
- 気分が安定せず不安定になる
- 強い不安感におそわれる
- 考えがまとまらず混乱する
- 人と関わるのを避けたくなる(社会的ひきこもり)
- 自分に対して否定的な感情を抱く
- 感情が過敏になり、些細な刺激にも敏感に反応する
これらの症状は個人差が大きく、軽いものから日常生活に支障が出るほど重いものまでさまざまです。
症状がつらく感じられる場合には、早めに医療機関へ相談し、適切なケアを受けることが大切です。
月経前症候群(PMS) / 月経前不快気分障害(PMDD)の治療方法
月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)には、主に「薬を用いた治療」と「心理的なアプローチによる治療」の2つの方法があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
薬による治療(薬物療法)
PMSの症状は比較的軽いことが多く、生活習慣を整えたり、しっかりと休息を取ることで症状が緩和される場合があります。
心の負担を軽くするために、簡単なカウンセリングなどの心理的サポートが効果的なケースも少なくありません。
一方で、PMDDは症状がより深刻で、仕事や家庭生活など日常のさまざまな場面に悪影響を及ぼすことがあります。
このような場合には、休息やストレス対処だけでは十分でないこともあり、薬の力を借りる治療が必要とされることがあります。
使用される薬は、症状の強さや個人の状態によって異なりますが、主に以下のようなものがあります。
- 抗うつ薬(SSRIなど)
- 抗不安薬
- 必要に応じて抗精神病薬 など
医師の判断により、それぞれの症状に適した薬が処方されます。
心のケアを中心とした治療(精神療法)
PMSやPMDDを経験している方の中には、日々のストレスに対して非常に敏感で、それをうまく処理するのが難しいと感じる人も多いです。
このようなストレスへの脆弱性が、症状をより強くする一因となっていることもあります。
そこで効果が期待できるのが、カウンセリングや認知行動療法(CBT)などを取り入れた精神療法です。
これらのアプローチでは、本人が自分の思考や感情、行動のパターンに気づき、より良いストレス対処法を身につけるためのサポートが行われます。
感情の波や行動を客観的に見つめ直すことで、心の負担を軽くし、月経前の症状そのものを和らげる効果が期待できます。
月経前不快気分障害(PMDD)の診断方法
月経前症候群(PMS)は、多くの女性が生理の前後に感じるごく一般的な体調の変化です。
症状が軽い場合には、市販の薬を使ったり、しっかりと休息をとることで比較的簡単に乗り切れることが多く、日常生活に大きな支障をきたすことはありません。
しかし、中には症状が重くなり、「月経前不快気分障害(PMDD)」と呼ばれる状態に進行してしまうケースもあります。
PMDDは、心や体のつらさが強く表れ、日常の仕事や家事、人間関係にまで影響を及ぼすことがあり、注意が必要です。このような場合には、我慢せずに早めに専門のクリニックに相談することが大切です。
自分自身がPMDDかもしれないと感じたときには、以下のセルフチェックを行ってみてください。
複数の項目に当てはまるようであれば、PMDDの可能性が考えられますので、症状を見過ごさずに医療機関への受診を検討してください。
当院では、女性の心身の不調に寄り添いながら、経験豊富なスタッフが一人ひとりの状態に合わせた治療法をご提案しています。ひとりで悩まず、まずはお気軽にご相談ください。