睡眠障害とは?

私たちが毎晩必要としている良質な睡眠が、思うように取れなくなる状態を「睡眠障害」と言います。
睡眠障害にはさまざまなタイプが存在し、よく知られている「眠れない」症状以外にも、寝ている間に無意識で体を動かしてしまったり、十分な睡眠時間を確保していても日中の強い眠気が抜けない方も少なくありません。
こうした睡眠の問題が続くと、怪我や事故のリスクが高まるばかりか、職場や学校での集中力が切れる、物事に注意力が持続しないなど、生産性や作業効率にも大きな影響を及ぼします。
さらに、十分な休息が取れない日々が続くと、気分の落ち込みや感情のコントロールが難しくなるなど、心の健康にもマイナスとなり、人間関係の摩擦につながる場合もあります。
また、慢性的な睡眠不足は、身体にも負担を蓄積させ、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の発症リスクを高めてしまうことも分かってきました。
睡眠のトラブルは早めの対応が重要です。「もしかして睡眠障害かも…」と不安を感じたら、一人で抱え込まずに、当院までご相談いただくことをおすすめいたします。睡眠の質を改善することで、心身の健康も取り戻しましょう。
睡眠障害の主な症状
睡眠障害を抱えている人には、共通するような症状が現れることがあります。もしあなたの経験している症状が、以下のような内容に当てはまる場合、睡眠障害の可能性が考えられます。
ご自身の状態を振り返りながら、確認してみてください。
・布団に入ってもなかなか眠れず、何時間も寝付けない
・夜中や早朝に目が覚め、その後眠れなくなる
・日中、学校や職場で強い眠気に襲われる
・最近、いびきをかくようになったと周囲に指摘される
・寝言を言っていたと家族や同居人に言われる
・アラームが鳴る前に目覚めてしまうことが多い
・睡眠中に腕や脚がピクピクと動いていると指摘された
これらの症状が続いている場合、睡眠障害の可能性があります。
睡眠障害の4つのタイプ

睡眠障害にはさまざまなパターンがありますが、主に「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」といった4つの特徴的なタイプが存在します。
これらは互いに重なる場合もあれば、特定の症状が際立つケースもあり、人によって影響の出方や生活への支障の大きさも異なります。それぞれの特徴を紹介します。
入眠障害
入眠障害では、ベッドに入ってからなかなか寝付けず、長時間まどろむ状態が続く症状が見られます。精神的なストレスや将来への不安、刺激物の多い夜間の飲食などが主な原因として知られています。
さらにスマートフォンの利用や、光・音による刺激も脳の休息を妨げます。
この問題を抱えた場合、寝る前に強い光を避けたり、深呼吸やストレッチで気持ちを落ち着ける環境づくりがポイントになります。
中途覚醒
中途覚醒では「途中で何度も起きてしまい熟睡できない」といった症状が見られます。
加齢と共に増える傾向があり、寝る直前までテレビやスマートフォンを見ていたり、アルコールや利尿作用のある飲料の摂取も関連が深いです。
静かで暗い寝室、一定の気温・湿度の維持など睡眠環境の調整を行うことが重要です。また、一度目覚めてしまった場合も安心して再び眠れるよう、焦らずリラックスする習慣をつけることも有効です。
早朝覚醒
早朝覚醒は「まだ起きる時間ではないのに目が覚めてしまい、そのまま眠れない」といった症状が見られ、高齢者やストレスが強い人、特にうつ症状を抱えた場合によく見られます。
健康的な生活リズムを作り、日中に太陽光を浴びて体内時計を整えることで改善が期待できます。
また、寝る前に不安や悩みに捉われやすい方は、日記を書いたり瞑想するなどして思考を整理する工夫も役立ちます。
熟眠障害
熟眠障害で「たっぷり寝たはずなのに疲れが取れない」「睡眠時間は十分なのに眠った気がしない」といった症状が見られます。
これは深い睡眠(ノンレム睡眠)が足りていなかったり、睡眠の質が低下しているのが原因です。ストレス管理や毎日の適度な運動、カフェインの摂取を控えるなど生活習慣全体の見直しが必要です。
また、睡眠時無呼吸症候群など病気が関係していることもあるため、症状が長引く場合は一度医療機関に相談するのも大切です。
睡眠障害は、一つのタイプだけでなく複数が同時に現れることもあり、体や心のバランスが乱れやすくなります。自分の睡眠パターンや生活習慣を見直し、困った場合は専門家に相談するなど、早めの対策を心がけましょう。
睡眠障害の治療方法
睡眠障害に対する治療は多岐にわたり、その中でも薬を使った薬物療法は多くのクリニックで用いられています。医師は患者一人ひとりの症状や背景をしっかり把握した上で、最適な薬剤を選択します。
たとえば、眠りのタイミングが不規則になっている方には、体内時計のズレを修正するための薬や、神経系に作用して覚醒・睡眠バランスを整える薬が用いられることがあります。
ですが、睡眠障害の克服には薬だけに頼るのではなく、患者の心身の状態をトータルケアするアプローチも大切です。
そのため、睡眠障害の治療法としては薬物療法に加えて、カウンセリングによるストレス軽減や、規則正しい睡眠習慣を作る生活指導なども積極的に取り入れられています。
睡眠の質を高め、快適な毎日を実現するためには、医療と生活両面でのサポートが欠かせません。こうした多角的な支援が、睡眠障害の根本的な改善と早期回復につながっていきます。
睡眠障害の診断方法

眠りに関して不安やトラブルを感じている方は、まずセルフチェックリストに目を通してみることをおすすめします。
日常生活で「夜なかなか眠れない」「朝スッキリ起きられない」など、いくつか当てはまる項目があれば、睡眠障害のリスクが考えられます。
こうした状態が何度も続いたり、生活に支障をきたすようであれば、早めに専門機関へご連絡ください。
当クリニックでは、睡眠医療の実績豊富なスタッフが、一人ひとりのお話を丁寧にヒアリングし、客観的な検査や最適な治療法を提案します。
十分な睡眠は健やかな心身の土台です。不安を抱え込まず、まずはお気軽にご相談いただくことが健康への第一歩となります。
